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魔法少女リリカルなのはStrikerS 第23話【Stars Strike】 ティアナ「地上でも空でも、分断されたままの絶望的な状況。だけど、ずっと傍にいてくれたあの子の馬鹿みたいな 優しさと、出来の悪い私に一生懸命、技と力を叩き込んでくれたあの人の教えが、私に、立って戦えって言ってる。 誰にも負けないって言ってくれた言葉を、積み重ねてきた時間を。信じた未来を、夢のままで、終わらせないために」 ディエチ「あの小さな子の、お母さん、なんだっけ。あんたに恨みはないけど」 なのは「…っ、ブラスターシステム、リミット1!リリース!!」 レイジングハート「ブラスターセット」 なのは「ブラスター、シュート!!!」 ディエチ「うっ、抜き打ちで、この、威力」『こいつ、本当に人間か?』 なのは「じっとしてなさい。突入隊があなたを確保して、安全な場所まで護送してくれる。この船は、私たちが停止させる!」 なのは「…っ」 レイジングハート「master」 なのは「平気。ブラスター1はこのまま維持!急ぐよ、レイジングハート!」 レイジングハート「All right」 クアットロ「あはは、ははは。なんだ~。ブラスターシステム~なんて大仰な名前がついてるから、 どんなハイテクかと思ったら、バッカらしい。ねぇ陛下ぁ?あなたのママはそうとうおばかさんですよ~?」 クアットロ「いっらしゃ~い。お待ちしてました」 なのは「…っ」 クアットロ「こんなところまで無駄足ご苦労様。さて、各地のあなたのお仲間は大変なことになってますよ~」 なのは「大規模騒乱罪の現行犯であなたを逮捕します。すぐに騒乱の停止と武装の解除を」 クアットロ「仲間の危機と自分の子供のピンチにも、表情一つ変えないでお仕事ですかぁ?いいですね。 その悪魔じみた正義感」 クアットロ「で~も~、これでもまだ平静でいられます~?」 ヴィヴィオ「う、うあ、あ」 なのは「ヴィヴィオ!」 クアットロ「んっふ。いいこと教えてあげる。 あの日、ケースの中で眠ったまま輸送トラックとガジェットを破壊したのはこの子なの。 あの時あなたがようやく防いだディエチの砲、でも、たとえその直撃を受けたとしてもものともせずに生き残れた はずの能力。それが、古代ベルカ王族の固有スキル、『聖王の鎧』。レリックとの融合を経て、 この子はその力を完全に取り戻す。古代ベルカの王族が自らその身を作り変えたという究極の生体兵器。 レリックウエポンとしての力を」 ヴィヴィオ「ママーー!!!」 なのは「ヴィヴィオ!!」 ヴィヴィオ「!!ママ!!やだ~ママ!!」 なのは「ヴィヴィオ、ヴィヴィオ!!」 クアットロ「すぐに完成しますよ。私たちの王が。ゆりかごの力を得て、無限の力を振るう究極の戦士」 クアットロ「ほら陛下?いつまでも泣いてないで。陛下のママが助けて欲しいって泣いてます。 陛下のママを攫っていったこわ~い悪魔がそこにいます。 頑張ってそいつをやっつけて本当のママを助けてあげましょう?陛下の身体には、そのための力があるんですよ? 心のままに、思いのままにその力を解放して」 ヴィヴィオ「あなたは、ヴィヴィオのママを、どこかに攫った」 なのは「ヴィヴィオ、違うよ。私だよ!なのはママだよ!」 ヴィヴィオ「違う!」 なのは「!!」 ヴィヴィオ「うそつき。あなたなんか、ママじゃない!」 なのは「…っ」 ヴィヴィオ「ヴィヴィオのママを、返して!!」 なのは「ヴィヴィオ!!」 「レイジングハート!」 レイハー「W.A.S.フルドライビング」 クアットロ「さぁ、親子で仲良く、殺し合いを」 ヴィヴィオ「ママを、返してー!!」 なのは「ブラスター、リミット2!!」 ゲンヤ「市街地の防衛ラインは何とか持ちこたえてる。ガジェット共が相手なら、何とかならぁ」 グリフィス「はい!」 ゲンヤ「そっちの赤毛が鍛えてくれたうちの連中と航空隊の高町嬢ちゃんの教え子たちが最前線を張ってる。 だが、現状でギリギリだ。他に回せる余裕はねぇし、戦闘機人や召喚師に出てこられたら、 一気に崩されるかもしれねぇ」 シャーリー「戦闘機人五機と召喚師一味は、六課前線メンバーと交戦中です」 ゲンヤ「そうかい」 ティアナ『逃げ足も潰されて、カートリッジも魔力も、もう後ちょっと。頼みの綱の最後の一発勝負も、通用するかどうか』 「ほんとはさ。随分前から、気付いてたんだ。私はどんなに頑張っても、万能無敵の超一流になんてきっとなれない。 悔しくて、情けなくて、認めたくなくてね。それは今もあまり変わらないんだけど。だけど」 何だかいきなりスバルの回想シーンから始まったBパートですが、 マリエル「検査の結果、やはり間違いありません。ギンガもスバルも、二人とも、あなたと遺伝子形質が全く同じ。 あなたの遺伝子データがどこかで盗みだされて、使用されたんじゃないかと」 クイント「そう」 ギンガ「シューティングアーツの練習、スバルももっとちゃんとやればいいのに」 スバル「痛いのとか怖いの、嫌い」 スバル「自分が痛くて怖いのも嫌いだけど、誰かを痛くしたり、怖くしたりするのは、もっと嫌い。 私たちの身体、普通と違うんだし。壊したくないものまで壊しちゃうのは、怖いよ」 ギンガ「そっか。まぁ、スバルは強くなくてもいいのかな。お父さんとお母さんがいるし。私もいるから」 スバル「うん!」 なのは「そういえば、スバルが強くなりたい理由って、何なのかな?」 スバル「え?あ、やっぱりそれは、なのはさんに憧れて」 なのは「あっはは、それは嬉しいんだけど、そうじゃなくて」 スバル「え?」 なのは「強くなって、何をしたいのかなぁって」 マッハ「練習通りです」 スバル「え?マッハキャリバー?」 マッハ「まだ動けます、私も、あなたも。まだ戦えます。なのに、こんなところで終わる気ですか?」 マッハ「あなたが教えてくれた、私の生まれた理由、あなたの憧れる強さ。嘘にしないでください」 スバル「災害とか、争い事とか、そんなどうしようもない状況が起きたとき、苦しくて悲しくて助けてって泣いてる人を、 助けてあげられるようになりたいです。自分の力で、安全な場所まで、一直線に!」 なのは「あはっ」 スバル『戦うのとか、誰かを傷つけちゃうのとか、本当は何時も怖くて不安で、手が震える。 だけど、この手の力は壊すためじゃなく、守るための力。悲しい今を、打ち抜く力』 シャマル「あなたが地上戦の司令塔で、各地の結界担当。上手く隠れてたけど、クラールヴィントのセンサーからは、 逃げられない」 ザフィーラ「大規模騒乱罪、及び、先日の機動六課襲撃の容疑で!」 シャマル「逮捕します!」 ティアナ「あなたたちを、保護します。武装を、解除しなさい!」 レジアス「オーリス。おまえはもう下がれ」 オーリス「それは、あなたもです。あなたにはもう、指揮権限はありません。ここにいる意味はないはずです」 レジアス「わしは、ここにおらねばならんのだよ」 ゼスト「手荒いらいこうで済まんな、レジアス」 レジアス「かまわんよ、ゼスト」 オーリス「ゼスト、さん?」 アギト「ここから先は、通行止めだ!」 シグナム「おまえは」 アギト「旦那は、ひどいことなんかしねぇ!ただ、昔の友達と話をしたいだけなんだ! 旦那には、もう時間がねぇんだ!そいつを邪魔するってんならぁ!!」 シグナム「こちらはもとより事情を聞くのが目的だ。事件の根幹に関わることならば、尚更、聞かせてもらわねばならん」 ゼスト「オーリスは、おまえの副官か?」 レジアス「頭が切れる分、わがままでな。子供の頃から変わらぬ」 ゼスト「聞きたいことは、一つだけだ。八年前、俺と俺の部下たちを殺させたのは、おまえの指示で間違いないか? 共に語り合った、俺とおまえの正義は、今はどうなっている?」 次回予告 エリオ「消えない傷跡も、止まらない痛みも、逃げずにまっすぐに受け止めること。教えてもらったから。 だから、僕らは。次回、魔法少女リリカルなのはStrikers第24話、雷光。勇気を込めて、Take off!」
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第一話 サイファ- こちらガルム1、帰還した。 これより着陸体制に入る。 こちら、管制塔。了解、ガルム1! よくやってくれた! 通信の向こうから歓声が聞こえる。 その歓声は国境なき世界を潰し、相棒(PJ)を落とされ、かつての「相棒」を落とした血に濡れた「英雄」を称えてでもいるのだろうか。 「…戦争は終わった。じゃあ、「俺達」傭兵はどうしたら良い?」 俺はそう呟いた。 世界には争いが絶えない。きっと、なんだかんだいって「傭兵」と言う戦争屋と嘲れる物がなくなる事は無いのだろう。 相棒、俺はお前を止めて良かったのか? お前の言う通り国境をなくし、全てをzeroに戻し、次の世代に託した方が良かったのか? …答えは出る事は無く、基地は近づく。 着陸する。 イーグルが低空飛行に入る。 静電気のような物が突然走り、目眩がする。 バチッ 一瞬、何もかもが真っ白になり何も見えなくなった。 接地する。 「今一瞬目眩がしたな…」 出撃は長時間だった。 パイロットにも機体(イーグル)にも損害は大きかった。 きっと目眩はそのせいだろう。 明るく差し込む光が、そう… 「光…!?」 基地は確か、雪だったはず… しかし、イーグルのキャノピーから覗ける空の光景は晴れ晴れとした青空だった。 「…しかも明らかに基地じゃねえよココ」 管制塔、格納庫、対空火器、先に帰って来てるはずの攻撃隊、そんなものは一つも見あたらなかった。 イーグルが止まる。 「見た感じは民間施設…か?」 銃の安全装置を解除し、周りを見渡す。 どうやら駐車場に着陸したらしい。 「通信は…ダメか、GPSもダメだな。」 通信は全チャンネル応答無し。 国際救難チャンネルもダメ GPSはなんかそもそも衛星が見つからないとかなんとか これじゃあエンジンを再始動させたってどこに帰ればいいのかわからない。 「サバイバルキットは…と」 どうも何かヤバい感じがする。 そう思ってシート下に仕込んであるサバイバルキットを… 「…動かないで」 取り出せなかった。 キャノピー越しとは言え……槍みたいなもん?を突きつけられた。 …やれやれ、近づいて来てるのに気づかないたあ、我ながら不用心だ。空戦ならもう死んでるな。 自分に呆れながら、逆らえない状況で指示があったのでキャノピーを空ける。 「女の子…か。物騒な世の中だねえ。」 俺に槍を突きつけていたのは茶色の髪の毛の女の子だった。 しかし、最近の槍はこんなもんか?変なデザインだ。 …まあ、なんであれ。槍と安全装置は解除してるが弾倉を入れ忘れてる銃じゃあ勝負というかお話しにならないわけで。 「…はい、降伏。 「国境なき世界」かベルカか知らないが捕虜の扱いは条約に従ってくれよ」 今までの自分のやって来た事を考えると戯言だな。自分で苦笑しながら銃を少女に渡す。 「…で?ここはベルカなわけか?それともアヴァロンダムか?」 「あ、あの…仰ってるわけが良く…ベルカはともかくアヴァロンダムや「国境なき世界」って何ですか?」 「はい?」 「俺は"世界"から跳ばされてここにきた…と…?」 ある意味、普通の驚き方に私はほっとしていた。 "跳ばされる"事自体はあまり珍しくは無い。 ただ、跳ばされてきた来た人は大抵、自分が跳ばされてきたを否定し、話すら聞こうとしない。 それを考えれば、目の前の青年が話をキチンと聞いてくれるのは、珍しくもありがたい事である。 実際、青年は小言で「なるほど…だから急に天気が…」 とか言っている 「疑わ…ないんですか? 大抵の人は、「謀略」とか「夢」とか言いますよ?」 私は不思議に思って、彼に問うてみた。 「へ?いや自分の目で見て、考えて、実際その"跳ばされてしまった"と言う話を否定する材料が無い、それに…」 「それに?」 「虚実や謀略で無いことくらいはその目を見ればわかる。」 高町と名乗った少女の話は、確かに衝撃的だった。 俺は何らかの原因で世界から跳ばされてこの世界にたどり着いたらしい。 最初はベルカの謀略…を疑わなかったわけではない。 しかし、冷静に考えていくらベルカが有り得ない技術力を保有していた所でこんな手の込んだ事は出来ない。 それに、尋問官である高町の目は嘘を言っている人間の物では無い。と感じたのだ。 (それを言ったら、クスクス笑われたが) 「なのは、交代しよう」 突然ドアが開き、また今度は大人と言っていい年齢な感じの女が入ってきた。 「シグナムさん!」 「…ここは任せろ。新人達の所へ行ってやれ。」 シグナムと呼ばれた女にそう言われた高町は、シグナムに礼を言うと、俺の尋問内容を書いた紙を渡し部屋を出ていった。 シグナムはその紙を見ながら、俺の向かい側に座る。 「…なるほど、確かに珍しいな。 ここまで今の自分の状況を理解するのは。 」 そうシグナムは呟いていた。 「私はこれから貴君の個人情報について、聞こうと思う。 個人情報だからな。答えたくないことには答えなくてもいい。」 シグナムは紙を捲りながら、そう言うと「さて、まず名前を聞こうか?」 「ウスティオ空軍第6航空団第66飛行隊、ガルム隊一番機"ガルム1"だ。 いや、地上なら "サイファー"でいい」 世界は違えど、思いは変わらず、何が起こるかわからん新世界 とりあえず、魔法少女リリカルなのは nextgenerations 始まります。
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魔法少女リリカルなのはVividキャラクターファイル「StrikerS X」編 リリカルなのは最新作である「Vivid」にはシリーズを通しての設定やキャラクターが多く存在する。ここではその一部を説明しよう。 元「機動六課」 第3期「StrikerS」の中心人物たち 部隊解散後はそれぞれの道を歩んでいる スバル・ナカジマ 年齢:19 能力:陸戦魔導師/格闘家 デバイス:リボルバーナックル マッハキャリバー 元機動六課のフロントアタッカー。明るく人当たりのいい性格。部隊解散後は特別救助隊に転属し人命救助の最前線で活躍している。 ティアナ・ランスター 年齢:20 能力:陸戦魔導師/射撃手 デバイス:クロス・ミラージュ 訓練校時代からのスバルの親友。機動六課時代は同じチームでともに活躍した。現在は時空管理局の執務官として、忙しい日々を送っている。 エリオ・モンディアル 年齢:14 能力:陸戦魔導師/竜騎士 デバイス:ストラーダ 騎士を目指す少年。かつて非人道的な実験に利用され心を閉ざしていたが、フェイトに保護され育てられた。現在は自然保護隊に所属している。 キャロ・ル・ルシエ 年齢:14 能力:召喚魔導師/竜召喚 竜とともに暮らす少数民族の出身。白銀の竜フリードリヒと黒竜ヴォルテールを使役できる。現在は辺境自然保護隊の隊員として活躍中。 ギンガ・ナカジマ 年齢:21 能力:陸戦魔導師/格闘家 デバイス:リボルバーナックル ブリッツキャリバー ナカジマ家の長女。現在は陸士108部隊の捜査官として働き、妹たちやその友達の世話を焼く優しい姉。 Culaume1 機動六課とは? 正式名称は「古代遺物管理部・機動六課」。 時空管理局本局・聖王教会の支援を得たはやてが設立した新設部隊だ。表の目的は強大な魔力を秘めた古代遺産「レリック」事件対応のためだが、 その真の目的は、カリムの「いずれ起こりうるであろう陸士部隊の全滅と管理局システムの崩壊」という予言結果への対策だった。 「JS事件」解決後、その役割を終えた機動六課は解散となり、隊員たちはそれぞれの進路へ進んだ。 元ナンバーズ(ナカジマ家) スカリエッティに利用されていた戦闘機人たち 現在はナカジマ家で家族として暮らしている チンク・ナカジマ 元ナンバーズ「No.5」 能力:ランブルデトネイター 固有装備:シェルコート スティンガー 触れたものを爆発物に変える能力をもつ。外見は幼いが、落ち着いた面倒見の良い性格で、ノーヴェたちに慕われている。 ノーヴェ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.9」 能力:ブレイクライナー 固有装備:ガンナックル ジェットエッジ 口は悪いが根は優しい性格。スバルの母クイントの遺伝子を受け継いでいるため、スバル・ギンガとは実質的にも姉妹。 ごく短い時間だが、イクスと話もしている。 ディエチ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.10」 能力:ヘヴィバレル 固有装備:「狙撃砲」イノーメスカノン ナンバーズ時代は狙撃手として活躍。かつては無口で感情をあまり表に出さなかったが、今ではなのはを始め周囲に心を開いている。 ウェンディ・ナカジマ 元ナンバーズ「No.9」 能力:エリアルレイヴ 固有装備:ライディングボード 盾にも乗機にもなるライディングボードによる機動力と防御力が売り。語尾に「~ッス」とつく明るい性格で、保護者のゲンヤを「パパりん」と呼んでいる。 Culaume2 「ナンバーズ」とは? 次元犯罪者ジェイル・スカリエッティによって生み出された12人の姉妹たち。 いずれも人の体に機械を融合させた「戦闘機人」で、それぞれ「インヒューレントスキル」と呼ばれる先天固有技能をもっている 「JS事件」の後、管理局に確保された彼女たちは、セインやノーヴェなど自らの罪を認め更生する者もいたが、 ウーノ、トーレ、クアットロ、セッテは非協力的な態度を貫き、スカリエッティとともに軌道拘置所に収容されている。 聖王教会 古代ベルカの「聖王」を敬愛する宗教組織 元ナンバーズのメンバーも保護している カリム・グラシア 能力:預言者の著書「プロフェーティン・シュリフテン」 デバイス:なし 聖王教会・教会騎士団所属の騎士。はやてが機動六課を設立した際、その後見人となった。詩文形式の予言能力というレア能力のもち主。 シャッハ・ヌエラ 能力:修道騎士/格闘家 デバイス:ヴィンデルシャフト 聖王教会所属のシスターで、カリムの秘書。自身も双剣型のデバイスを操る凄腕の修道騎士。今は更正したセインの保護役も務めている。 セイン 元ナンバーズ「No.6」 能力:「無機物潜行」ディープダイバー 固有装備 ヘリスコープ・アイ 無機物を自在に通り抜ける能力をもつ。明るい性格でナンバーズたちのムードーメーカ的存在だった。現在は、修道騎士見習いとして修行中。 オットー 元ナンバーズ「No.8」 能力:レイストーム 固有装備 ステルスジャケット 攻撃・拘束に使う光線を放つ能力をもつ。中性的な外見で、一人称は「僕」。更正後はカリムの秘書として彼女に仕えている。 ディード 元ナンバーズ「No.12」 能力&固有装備:「双剣」ツインブレイズ 優れた戦闘技術をもつナンバーズの末妹。オットーとは双子のような関係で、更正後もともに聖王教会の一員となり活躍している。 Culaume3 「聖王教会」とは? ベルカ自治領域内に本部をもつ、次元世界で最大規模の宗教組織。 数々の偉業を成し遂げたといわれる古代ベルカの「聖王」およびその血族や周辺の騎士たちを崇めている。 他の宗教に比べ禁忌や制約が少ないため信徒数も多く、各方面への影響力も大きい。 古代魔法文明の遺産「ロストロギア」の管理を使命としており、時空管理局との関係も深い。 「教会騎士団」という独自の戦力をもっており、カリムやシャッハはこれに属している。 その他の関係者 「JS事件」「マリアージュ事件」の関係者たち 今は時空管理局の保護下で生きている ルーテシア・アルピーノ 年齢:14 能力:召喚魔導師/獣召喚 デバイス:アスクレピオス 召喚魔法を操る少女。かつてスカリエッティに利用され協力していたが、現在は無人世界「カルナージ」で穏やかに暮らしている。 メガーヌ・アルピーノ 能力:??? デバイス:なし ルーテシアの母。人造魔導師の素体として適合度が高かったためスカリエッティに利用されていた。現在は娘とともに暮らしている。 ガリュー 能力:変形による生体武装の開放 デバイス:なし ルーテシアに従う人型召喚獣。言葉は話せないが、声を判別し理解できる知性をもつ。腕から伸びる巨大な爪が主武器。 イクスヴェリア 能力:「マリアージュ」の無限生成 デバイス:なし 古代ベルカ・ガレア王国の王。スバルに助けられて以来、彼女とは友人どうし。現在は、いつ目覚めるか分からない眠りについている。 Culaume4 「マリアージュ事件」とは? 遺跡研究者たちの殺害から端を発した連続殺人事件の総称。 その真実はトレディア・グラーゼという活動家によってよみがえった古代ベルカの生体兵器「マリアージュ」が、 自らを生み出した王「イクスヴェリア」を捜し暴走したものだった。 事件の中で約1000年の眠りから覚めたイクスは、逃走中のところをスバルに保護される。 マリアージュの分隊長を倒し事件は終息したが、機能不全状態にあったイクスは長い眠りにつくことになった。
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モンスター訓練所 モンスター強化素材が入手できる時間限定イベント 毎日12時から、21時からの2回開催されています。 解放条件 第1章「伝説の聖獣」クリア スケジュール 月曜~土曜 ①12 00~13 00 ②21 00~22 00 難易度 スタミナ 獲得EXP 獲得GOLD 出現するボッチ 強化時の経験値目安 初級 5 56 122 ボッチ、ダイダラボッチ 15,000~20,000 中級 15 250 500 ダイダラボッチ、キングダイダラ 40,000~70,000 上級 25 916 1,838 ダイダラボッチ、キングダイダラ 70,000~120,000 超級 50 キングダイダラ、ゴッドダイダラ 250,000~300,000 新規ユーザーの方へ ボッチは攻撃力が低く、全滅させられることはまずありません。 防御力が異様に高くダメージは1しか通りませんが、HPが2~10程度なので数ターン攻撃すれば倒すことができます。 スタミナが確保できれば上級を周回するだけでプレイヤーLvも30弱まで上がります。序盤は時間が合えば周回推奨。 バトルでドロップしたボッチはモンスターのLvを上げる素材になるのでどんどんモンスターを強化していきましょう。(詳しくは下のリンクから) モンスターの強化、ボッチについて 今日 - 昨日 - 合計 -
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フィールドやダンジョンを歩いていると襲ってくる存在。 旧作ではランダムエンカウント方式であったが、 最近の作品ではシンボルエンカウントを用いられる事が増えてきた。 ボスモンスターは、既存のモンスターの色違い(特殊な配色や装飾をしていることが多い)もしくはオリジナルの種族が登場している。 なお、公式からのモンスターのドロップ率や弱点といったモンスターデータは原則非公開としている。 そのため、強化も弱体化もされてない呪文・特技がモンスターのバランス再調整によって弱体化したと感じる事もある。 有志達の研究によって公開しているモンスターデータはあくまで推測データという事を頭に入れておこう。 またボスモンスターを閲覧する際は、ネタバレを含む可能性があるので、 ネタバレが嫌いな方は注意しておきたい。 ピラミッドに出現する魔物は【ピラミッドの秘宝】項を参照。 なお、前作DQIXと同じく本作に登場するモンスターはDQI~Vに一度だけ登場し、その後ぱったり登場しなくなったモンスターの再登場が多い。しかし、初出の頃よりも大幅に強化されている敵が多く、舐めてかかると大ダメージを受けることも多い。(トルネコシリーズや8のスピリットボールなどが良い例) ※青字は2ndで追加されたもの。 DQI メトロゴースト、ヘルゴースト、よろいのきし、あくまのきし、しにがみのきし DQII グレムリン、ベビル、ゴールドオーク、じごくのつかい※1、デビルロード DQIII キャタピラー※1、どくイモムシ、かえんムカデ、キャットフライ、キャットバット、スカルゴン※2、バラモスゾンビ、キングヒドラ DQIV あばれこまいぬ、サブナック、フレイムドック、ひとくいサーベル、しびれだんびら、ブラッドソード、ベロベロ、プテラノドン、アイスコンドル、フライングデス、ポイズンリザード、ベビーサラマンダ、マッドルーパー、サイおとこ、ライノソルジャー、ライノスキング※3、キングレオ、やつざきアニマル、おにこんぼう、バルザック※4ギガデーモン、つかいま DQV おばけキャンドル、ともしびこぞう、さんぞくウルフ、シードッグ、ホースデビル、バルバロッサ、メッサーラ、デンタザウルス、サウルスロード、バザックス、レッドイーター、ブルーイーター、ガルバ、ゴルバ、ゴールデンゴーレム、セルゲイナス ※1 3DS版DQVIIのトクベツな石版で再登場したが、発売はDQXの方が先である為あえて記載する。 ※2 DQVに登場したのはスカル『 ド 』ン。 ※3 DQVIIに登場したのは『 ライノキング 』。 ※4 オフライン限定。姿は「バルザック+」のおにこんぼう系統。 文字順で検索する あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 その他 系統 【あくま系】 【エレメント系】 【怪人系】 【けもの系】 【植物系】 【スライム系】 【ゾンビ系】 【鳥系】 【ドラゴン系】 【物質系】 【マシン系】 【水系】 【虫系】 【???系】
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タイトル別インデックス A B C D E F H I L M N R S T あ い う え か き く け こ さ し す せ た ち つ て と な は ひ ふ ほ ま み む め も や ら り ろ わ A ARMSクロス『シルバー』 A’s+スクウェア作品 短編 上へ B Black Bullet Witch Sister Of Fate BLASSREITER LYRICAL 上へ C CCなのは 上へ D Devil never Strikers ×DOD 上へ E 上へ F Fate May Cry 上へ G Get Ride! リリカルドライバー 上へ H HALO StrikerS ~GunGirl with SwordMen~ HALO -The REQULIMER- H×Hクロス 上へ I IDOLA came to Magical land 上へ J 上へ K 上へ L L change the world after story Lyrical Magical Stylish Lyrical in the Shadow Lylycal Nanoha StrikerS × SIREN ~Welcome to Hanyuda vil LYRICAL PSYCHIC FORCE StrikerS LYRICAL THAN BLACK Lyrical!とキマイラ 上へ M MOSTWANTEDNANOHA MotherS 上へ N NANOHA COMBAT ZERO the velkan war NANOSING ――NVP―― ナンバーズVSプレデター N2R捜査ファイル 上へ O P Q R Ririkaru無双 上へ S s.TRI..ed 上へ T the answer 上へ U V W X Y Z あ 赤いの二人でドグラマグラ 悪魔砲少女 対 生機融合猫 アリサもん アンリミテッド・エンドライン 上へ い 五つの誓い う ヴィータと不思議なお人形 ヴィータ、まねきねこ商店街に行く 宇宙の騎士リリカルBLADE ウルトラマンメビウス×魔法少女リリカルなのは 運命の探求 上へ え エーストライカーズ エリオと金色の獣 上へ お か カオスJOJO 上条当麻がその鬱展開(げんそう)をぶち殺しにいくようです。 仮面ライダーカブト 仮面ライダーリリカル電王sts 仮面ライダーリリカル龍騎 上へ き 機甲都市クロス 機人咆哮リリカルサンダルフォン キャロが千年リングを見つけたそうです 恐怖の将 上へ く 黒の戦士~ペペロンチーノ号リリカル奇談~ 軍神強襲リリカルボウケンジャー クラナガン・ヴェロシティ 上へ け 幻想の中心たち 上へ こ 高機動魔砲 マジカルパレードマーチ 上へ 小話メドレー 上へ さ 魁!! 魔法学園リリカル男塾 上へ し ジャングルはいつもハレのちグゥ リリカル 6課編 召喚戦記 リリカルナイト 情に目覚めし黒き龍 ジョジョクロス『愚者の書』 ジョジョ風味なのは 白き異界の魔王 地獄の四兄弟 上へ す スターゲイト ストライカーズ スカ博士と奇妙な冒険 上へ せ 正義超人リリカル万太郎 赫炎のクラナガン 上へ そ た ダブルクロス・リリカル・トワイライトStS 天からの快男児 上へ ち 超魔法重神グラヴィオンStrikerS チェンジ!!真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ A s~世界最後の魔法~ 上へ つ ツバサ-RESERVoir CHRoNiCLE- ~ミッドチルダ編~ 上へ て ティアナ・ランスターの憂鬱 デジモン・ザ・リリカルS F 天元突破リリカルなのはSpiral 天体戦士リリカルサンレッド 上へ と とある魔術の禁書目録クロス ドラゴンボールZクロス ドラゴンボールZ番外編 上へ な なの☆すた nanoha☆stars なの魂 なのはA s×ギアスクロスSS なのはStS×デモベ なのはStS+φ’s正伝 なのは×終わクロ なのはキャラクターズ in バイオハザード なのはのくせになまいきだ。 なのは×錬金 ナムカプクロス 上へ に ぬ ね の は 走る少女 はやてのところに変な人達が集まったら 上へ ひ 棺担ぎのクロ。 リリカル旅話 敏腕時空捜査官 リリカルヒューズ VS 機動六課 上へ ふ フェイト・T・ハラオウンの悪夢 フェイト外伝――月下光影―― フェレットゾンダー出現! ブレイクブレイド StrikeS ファイアーエムブレム 白い魔王 上へ へ ほ 北斗の拳クロス 星のカービィリリカル次元を超えた出会い 上へ ま マクロスなのは マサルさんクロス 魔術士オーフェンstrikers 魔導新世紀リリカルなのはXtrikerS―エクストライカーズ― 魔道戦屍リリカル・グレイヴ Brother Of Numbers 魔法王女 魔法少女リリカルなのはStrikerS-選ばれしジェダイ- 魔法少女ニニンがなのは伝 魔法少女フルメタなのは 魔法少女なのは☆マギカ 魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ 魔法少女リリカル外伝 すごいよ!なのはさん 魔法少女リリカルなのはA s -NOCTURNE- 魔法少女リリカルなのはA s―S.I.C―帰ってきたV3 魔法少女リリカルなのはA,s外伝・ラクロアの勇者 魔法少女リリカルなのは DEVIL HUNTERS 魔法少女リリカルなのは.EXEStS 魔法少女リリカルなのはGE(黄金体験!) 魔法少女リリカルなのは GG ver.β 魔法少女リリカルなのはGoodSpeed 魔法少女リリカルなのは―MEIOU 魔法少女リリカルなのは ―Minstrel Song― 魔法少女リリカル☆なのは~NEXUS~ 魔法少女リリカルなのは ULTRA SEVEN story 魔法少女リリカルなのはs.CRY.ed 魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF―― 魔法少女リリカルなのは Strikers May Cry 魔法少女リリカルなのはStrikerS 因果 魔法少女リリカルなのはStrikerS-砂塵の鎖― 魔法少女リリカルなのはStrikerS ~次元を越えたニュータイプ~ 魔法少女リリカルなのはsts masked rider kabuto 魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER 魔法少女リリカルなのはStylish 魔法少女リリカルなのはThe Elder Scrolls 魔法少女リリカルなのは TRANSFORMERS 魔法少女リリカルなのはVS轟轟戦隊ボウケンジャー 魔法少女リリカルなのは マスカレード 魔法少女リリカルなのはマスカレード サイドストーリー 魔法死神リリカルBLEACH 魔法少女リリカルマジンガーK s 魔法少女リリカルなのは×諸葛孔明 時の地平線 魔法少女リリカル湾岸ミッドナイト ~永遠にわからない答え~ 魔法成人リリカル某 魔法戦記リリグナー 魔法使いと阿修羅姫 魔法帝王リリカルネロス 魔法忍者リリカル鴉 魔法少女リリカルなのは×バットマン 魔法少女リリカルなのは 蘇る闇の書 上へ み ミッドに咲く桜 ミッドチルダUCAT 上へ む 無双NANOHA 魔王再臨 紫の魔女 上へ め 女神異聞録リリカルなのは 上へ も 妄想戦士リリカル・ヤマモト 上へ や 夜天メーカー 上へ ゆ よ ら り リリカルBLACK リリカル.exe リリカルlain リリカルSD戦国異伝 リリカルsts×ギルティギア リリカルTRIGUNA’s リリカル×アセリア リリカルギア リリカルギアソリッド リリカル・クラッカーズ リリカルケロロ軍曹STS リリカル犬狼伝説 リリカル・コア リリカルセイバーズ リリカルゾイド氏 リリカル魂 りりかるな黒い太陽 リリカルなのはARC THE LAD リリカルなのはFeather リリカルなのは Nightmare リリカルなのはOSGS リリカルなのはVS厚生省 リリカルなのは×空の軌跡 想いの在り処 リリカルなのはディバインウォーズ リリカル・ニコラス リリカル・パニック リリカルパンプキン リリカル剣(ブレイド) リリカル・ブレイン リリカルプロファイル リリカルマンモス&オメガ リリカル! 夢境学園 リリカル遊戯王GX リリカル×ライダー リリカルVSプレデター リリカルガウザー る れ ろ ロックマンゼロ-赤き閃光の英雄- ロックマンゼロ2-逆襲の救世主- ロスト・メモリーズ 上へ わ を ん
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名称:マジカル・コッペリア レアリティ:☆8 属性 火 一覧番号 0806 入手先 入手先1:進化 コッペリア入手先2:入手先3: レベル 1(99) HP 3457(4947) 攻撃力 731(1038) 治癒力 256(351) コスト 8 売却価格 ??? 進化必要素材 魔兵器・バロール(進化)虹結晶(進化)虹結晶(進化)虹結晶(進化)虹結晶 進化先 コッペリア バロール 必殺技:マジカル☆チェリー 必要ターン数 25(15) 効果(Lv1) 2ターンの間、70%の確率でチェリーが成立する抽選を行う。 効果(Max) 3ターンの間、75%の確率でチェリーが成立する抽選を行う。 リーダースキル:マジカル☆コッペリア 味方火属性の攻撃力が3.75倍、治癒力が1.5倍になる。
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勝負は互角、いや高町なのはの方が僅かに優勢だったのかもしれない。 新たにカートリッジシステムを組み込まれ、強化されたデバイス、レイジングハート・エクセリオンから放出される数々の誘導弾、圧倒的な砲撃。 贔屓目に見ても、鉄槌の騎士ヴィータは魔法を覚えて一年にも満たない少女に圧されていた。 誘導弾の撃ち合いではなのはの方が遥かに上。 接近戦に持ち込もうとしても砲撃魔法や射撃魔法に阻まれ、ようやく懐に潜り込んだとしても驚異的な硬さの防御魔法が立ち塞がる。 「いい加減落ちやがれ、この野郎!」 早く勝負を決め、結界を破壊しなくては。苛立ち、焦りが思考を単純化させる。 馬鹿正直に正面から切りかかるヴィータ。 だがその猪の如く突進も、変幻自在に空を舞う誘導弾により阻まれる。 「アクセル!」 誘導弾を避ける時に現れた僅かな怯みを見逃す事なく、なのはが攻める。 主の命令に従い、四つの誘導弾が一斉にヴィータへと矛先を向け、加速する。 「盾!」 『Panzerhindernis』 それでもヴィータは引かない。ただ愚直に、目の前の敵へと突進を続ける。 障壁と魔弾とが触れ、直後、爆炎が鉄槌の騎士を包む。 「そんなへなちょこな弾が効くか!今度はコッチの――」 番だ、と言おうとしその表情が固まる。 爆煙の先に見えたのは、桜色に光る魔力の塊。 (ヤバ――) 思考より先に体が動いた。 反射的に高速移動魔法を足元へと発現、同時に体が弾かれるように急加速する。 瞬間、桜色の極光が駆け抜けた。 (惜しい……!) 十八番の砲撃魔法・ディバインバスターの残滓を眺め、高町なのはは悔しげな表情を見せていた。 「この野郎!」 声のした方に振り向くと、ヴィータが安堵と憤怒の入り混じった複雑な表情を見せている。 安堵は回避に成功した事から。憤怒は砲撃を放ったなのはに対してだろう。 「う……ご、ごめんね」 その怒りに臆したのか、なのはは僅かに怯んだような表情を見せる。 どう考えても謝るタイミングでは無いのだが、未だに甘さを捨て切れないなのはであった。 「謝るくらいだったら最初からすんな!」 何処か理不尽さを感じさせる激昂の後、ヴィータが再び突っ込み、手の中の鉄槌を振るう。 それを丁寧に避けるなのは。 同時にレイジングハートをヴィータへと向け―― 「何あれ?」 「何だありゃ?」 ――『ソレ』に気が付いた。 なのはだけでは無い。 相対しているヴィータも疑問の表情を浮かべている。 二人が気付いた『ソレ』とは、漆黒の空に走る一筋の白線――とある男が魔導師の少年へと振るった、白刃と化した左腕。 だが、この遠距離からはその正体が掴める訳もなく、なのは達はただ眼前に映る不可思議な光景に首を捻る事しか出来なかった。 (フェイトちゃん……ヴァッシュさん……) 戦闘前に感じた不安が段々と大きくなっていく。なのはは心配そうに二人が戦っているはずの空を見つめていた。 □ 「ナァァァァァァアイブズ!!」 それは普段の彼からは想像できない咆哮。 手に持った拳銃は、一寸も違わず宙に浮かぶ兄弟を狙っていた。 「お前も変わらないな。久し振りの再開だぞ? 他に言うことはないのか?」 向けられた拳銃にも怯む事なく、小馬鹿にしたような笑みでナイブズはヴァッシュへと話し掛ける。 「何でお前が……此処にいる!」 対するヴァッシュの瞳には、驚愕と憎悪が映っている。 ヴァッシュには理解できなかった。 何故自分の目の前に、この世界にナイブズ――自分の仇敵が居るのか。 何故その微笑みを向けているのか。 考えても考えても答えの出る筈の疑問。 ヴァッシュはただ、認めたくなかっただけなのかもしれない。 全てを捨ててまで選択した平穏な世界に、目の前の男が居る事を。 「お前は誰だ! 守護騎士達の仲間か!」 その時、ヴァッシュの思考を遮るかのように一つの叫びが木霊した。 声の発せられた方向には、見知らぬ襲来者へと困惑げな表情を浮かべる最年少執務管、クロノ。 クロノは自らの正義を貫くべく、自身のデバイスをナイブズへと向けていた。 マズい。 瞬間、ヴァッシュの頭に三文字の言葉がよぎった。 ヴァッシュ自身、クロノの実力は知っている。 なのはやフェイトよりも上の次元にいる、その幼い容姿からは想像もできない程の実力を持った魔導師。 だが、そのクロノでも目の前の男にかなわないであろう事に、ヴァッシュは気付いていた。 何物をも切り裂く変幻自在の刃と化す左腕、そして自分も知り得ない圧倒的な破壊力を有した能力。 考えるまでもない。 殺される。 その思考に行き着いたと同時に全身の肌が粟立つ。 視線の先では、見る者を心の底からゾッとさせる、冷酷な瞳でクロノを睨むナイブズの姿があった。 「ダメだ、クロノ!そいつは――」 ヴァッシュが声を出し切るより一瞬早く、ナイブズは刃に変形した人差し指を振るった。 だが、クロノのいる場所は、ナイブズから十数メートルは離れた空中。 先程のように腕の形状を変えないと届くはずがない距離。 なのに―― 「え……?」 信じられない。 クロノの表情がそう語っていた。 彼の体に出現する真紅の一筋――まるで斬撃でも喰らったかの様な傷。 直後その筋を中心に、バリアジャケットがひび割れ、消失する。 同時に支えを無くしたかの様に崩れ落ちるクロノ。 意識が完全に飛んでいるのか、姿勢制御をする素振りすら見せない。バリアジャケットの消失した今、このまま落下すればどうなるのか。 ――答えは分かりきっていた。 「クロノぉ!!」 一瞬の思考の時間も取らず、落下を始めたクロノへとヴァッシュが駆け始めた。 そして、僅かな躊躇いすら見せずに柵を乗り越え、その身を虚空へと投げ出す。 ヴァッシュの視線の先には血を撒き散らし地面向けて加速するクロノ。 必死に手を伸ばしクロノの身体を抱きかかえ、同時に右手に握る拳銃を投げつけた。 標的はコンマ五秒前に乗り越えた柵。 寸分も違わず、狙い通りの軌道を描く拳銃。 拳銃が柵にぶつかり、同時に拳銃の持ち手から伸びたワイヤーが柵へと巻き付く。 瞬間、物凄い衝撃が右腕に掛かり、ヴァッシュの身体が自由落下を止めた。 だが自由落下が止まったところで、勢いが止まりきった訳ではなく――ワイヤー の絡まる柵を軸に、まるで振り子の如くヴァッシュの身体が振られる。 そんなヴァッシュを待ち受けていた物は――ビルの窓。 「のわぁあああ!」 悲痛な叫びを上げながら窓を突き破り、ビルの中へと消えていくヴァッシュ。 クロノが傷付かないよう、その身で庇っているのは流石と言ったところか。 「痛ってえ――ッ!」 数秒後、ビルの中からヴァッシュの叫び声が上がる。 その破天荒な一部始終を見ていたナイブズは、大きな大きなため息をついた。 □ 「おい、クロノ!大丈夫か!」 叫びから数秒後、身体に走る痛みを堪えヴァッシュは、腕の中のクロノを揺らした。 クロノの顔には苦悶が浮かんでいて、右肩から斜めに走る傷からは今だに血が流れていた。 (息はある……けど、このままじゃマズい!) 死なせてたまるか。 なのはの仲間を、自分の仲間を、絶対に死なせやしない。 床にクロノを寝かせ、懐から包帯を取り出す。 出来うる限りの応急処置を行うヴァッシュ。 その努力が幸をそうしたのか、何とか血が止まる。 ヴァッシュの顔に安堵が浮かんだ。 「ユーノ!クロノがやられた!治癒を頼む!」 義手に仕込まれた通信装置に言葉を飛ばし、ヴァッシュは立ち上がる。 右手に繋がるワイヤーを引っ張るが、複雑に絡まっているのか、愛銃が戻ってくる事はない。 「くそッ……」 苦々しい呟きの後、クロノを置いてヴァッシュは駆け出す。 目指す場所は屋上。 ナイブズが居た場所。 ――あの場には気絶中のフェイトが居る。 早く、一刻も早く向かわなくてはマズい。 『ヴァ、ヴァッシュさん!フェイトちゃんが、フェイトちゃんがヤバいです!』 通信装置を介しエイミィの焦りに満ちた声が響く。 その声が知らせるはフェイトの危険。 悔しげにヴァッシュの顔が歪み――ようやく屋上へとたどり着いた。 「フェイト!」 『収集完了』 屋上への扉を押し開けたヴァッシュの耳に、無機質な音声が届いた。 視界には倒れるフェイト、一冊の古書、フェイトの直ぐ側で佇むナイブズ。 「ナイブズゥゥッ!」 反射的に身体が動いていた。銃がなかろうと関係無い。 奴を止めなくては。 怒りが心を曇らせ――そして選択を誤らせた。 指を動かしただけの予備動作で発現する斬撃。 斬撃は不可視にして音速を越える。 「グッ!」 反射的に身体を捻るが、避けきれない。 苦悶の呻きと共に真紅の外套ごと脇腹に裂傷が走る。 傷自体は浅いが強烈な痛覚が身体を支配し、ほんの一瞬、身体の自由を奪う。 踏みとどまろうととっさに力を込めるが、止まらない。 駆け出したその勢いのままヴァッシュは地面へと倒れ込んだ。 「……お前も変わらないな」 地面に倒れ伏すヴァッシュを見下ろし、ナイブズが呟いた。 心底呆れたような、それでいて冷酷な表情がナイブズの顔には浮かんでいる。 先程まで側を飛んでいた闇の書は姿を消していた。 「前回もそうだ。久し振りの再開だというのに、顔を見合わせるやいなや銃を向けやがって……。兄弟だろう? 俺達は」 ナイブズは、物覚えの悪い児童に語り掛けるかのように問い掛けた。 その言葉に、口調に、ヴァッシュの心中を怒りが蹂躙する。 「レムを殺したお前が何を言っている! お前が……お前があんな事をしなければ! レムは――」 「――黙れ」 ピタリと喉元へと突き付けられ白刃が、それ以上言葉を出す事を阻止する。 ヴァッシュも黙するが、反抗的な瞳は変わる事がない。 沈黙が二人を包む。 「奴も所詮は人間……愚かで矮小な存在だ。全く持って腹が立つ」 その言葉にギリ、とヴァッシュの歯が鳴った。 明確な敵意を、怒りを視線を介しナイブズへと投げつける。 「落ち着けよ……今お前の生殺与奪の権利を握ってるのは俺だぞ? やろうと思えば瞬きの間に殺せる、お前も――そこのガキも」 今だ気絶中のフェイトを無表情に見やり、ヴァッシュの首筋からフェイトの首筋へと刃状の左腕を移すナイブズ。 ほんの少しでも力を込めれば、刃は頸動脈を貫き大量の血液と共にフェイトの命を奪うだろう。 「やめろ……!やめるんだ……!」 ヴァッシュはただ睨み付ける事しか出来なかった。 ほんの少し動けばフェイトは殺されるだろう、得物の銃も手の中にない。 ただ心の中で願い続ける。 ――頼む、殺さないでくれ、と。 静まり返る二人。 どれだけの時間が過ぎただろうか、無表情だったナイブズの表情が変化し、唇が三日月を描いた。 「冗談さ、ヴァッシュ。俺にはこの世界でしなくてはいけない事がある。……まだ殺しはしないさ、コイツ等は」 ナイブズは、そう言い左腕を元に戻すと倒れているシグナムへ歩み寄り、肩に背負った。 危機が去った事に安堵を浮かべるのも束の間、ヴァッシュが立ち上がり声を上げる。 「……お前はこの世界でも人間を殺すのか? この世界の人々はあの世界の人達とは無関係なんだ……みんな、仲良く平和に暮らしている! もしかしたら、俺達とは違う道を歩くかもしれない! その可能性を潰すのか!」 「……変わらないさ。人間はどんな時代に置いても、どんな世界に置いても、変わらない。現にこの平穏な世界でも殺人や戦争は起こっている。そのどれもが、下らない動機でだ。 この世界で暮らしているのなら気付いているだろう? ……現実を見るんだ、ヴァッシュ。人間は、変わらない。あの世界同様に地球を殺し、俺達のような存在を作り上げる……。それからでは遅いんだよ。この世界の地球はまだ救える。だから――殺す。人間という種は滅ぼさなくてはならない」 一息にナイブズは語る。 狂気に犯されながらも確個たる自身の信念を、ヴァッシュ同様に折れる事のない信念を、語る。 それはナイブズなりの正義であった。 「ナイブズ……」 「……今日のところは此処までだ。……お前が管理局の側につくのなら、また巡り会うだろう。その時は覚悟しておくんだな」 言葉と共に宙に浮かぶナイブズ。 左腕が再び変形し、ナイブズの身の丈を越える程の巨大さになる。 一閃。 十数人の魔導師により形成される結界に一筋の線が入る。 『力』は異常なまでの強固さを誇る結界を、まるでチーズを切るかのように両断、破壊した。 「お前……それは、その力は……?」 想像を遥かに越えた規模の破壊。 魔法でさえも成し得ない破壊にヴァッシュはただ呆然と呟く事しかできない。 「やはり覚えてないか……物覚えの悪い奴だ。まぁいい、またその内思い出させてやるよ。いや、もしかしたら覚醒の方が早いかもな……」 煮えきれない曖昧な返答に困惑げな表情を浮かべるヴァッシュから視線を外し、身を翻すナイブズ。 その動きにつられ、肩に背負われたシグナムの髪が揺れる。 「じゃあな、ヴァッシュ。…………ああ、撃ってもいいんだぞ。その瞬間この場に居る全ての人間を殺すがな」 その一言に、ヴァッシュは動きを止めざるを得なかった。 見せつけられた力。 その思想。 目の前の男ならそれが出来る。 一瞬で、躊躇いすら見せずに全てを刻み落とす。 ――何でこんな事になってしまったんだ。 捨てようと思った因縁、忘れようと思った過去。 あの世界から次元を隔てたココなら、日々が緩やかに流れ、争いのないこの世界なら捨てられると思った、忘れられると思った。 だから、あの騎士に向かって引き金を引いた。 世界を守る為、後悔の念と共にそれが最後となる筈の引き金を、引いた。 なのに―― 闇へと溶けていく兄弟の姿を、ヴァッシュは見つめる事しかできなかった。 □ 「!? 結界が!?」 再び夜空に走った白い直線。 自分の砲撃魔法ですら破壊できない程の強度を持つ筈の結界が、音もなく砕け散った。 驚愕に言葉を失い足を止めるなのは。戦闘という時間に置いてその行動は愚の骨頂。 だがその隙をつく事なく、相対するヴィータもまた足を止めていた。 「あれは……ナイブズか……」 ヴィータの心を埋める物は驚愕ではなく悔しさ。 結界を破壊する際に発生した現象――前回と同じ。またナイブズに助けられたのだ。 (みんな! ナイブズが結界を破壊したわ! 転送を始めるわよ!) 脳内にシャマルの声が響く。 「ヴォルケンリッター鉄槌の騎士、ヴィータ。あんたの名は?」 「なのは……高町なのは」 「高町なぬ……な……えぇい言いにくい!」 「逆ギレ!?」 「ともあれ勝負は預けといてやる。次は殺すからな、絶対だ!」 そう叫びヴィータが後方へと飛び去っていく。 追走しようとなのはも動き出すが、そこで脳内に通信が響いた。 『なのはさん、一旦下がって! 追撃は許可できません!』 その声は管制官のエイミィてばなく、指揮官・リンディのもの。 いや、それよりもなのはリンディの口から出た命令に違和感を感じた。 まだ追い掛けられる、なのに何故? その疑問に対する答えは直ぐに出た。 『現在二名の魔導師が撃墜しました……。今の戦力で戦闘を行う事は得策ではありません。引いてください』 なのはの表情が、ポカンと力の抜けたものに変化した。 『二人の魔導師が撃墜された』その言葉がなのはの頭の中を飛び回る。 『だ、誰なんですか……その撃墜された二人っていうのは……』 『…………フェイトさんとクロノ執務管よ』 時間が止まった。いや、止まったように感じた。 世界が色彩を無くし、灰色に染まる。つい先程まで脳内を埋め尽くしていたヴィータの事など、何処かに飛んでいった。 「う、そ……」 撃墜?負傷ではなく撃墜? フェイトちゃんとクロノ君が?ヴァッシュさんも居たのに? それ程にあの守護騎士は強かったのか? 『なのはさん……とにかく今は撤退して』 様々な疑問が渦巻く中、リンディの冷静な声が響く。 だが、頭に直接響くその言葉すら聞こえず、なのは呆然と空に立ち尽くしていた。 □ 数多のビルが建ち並ぶ海鳴市のビル街。 そのビルの一つに五人の人在らざる者が集まっていた。 その中の一人、シャマルが、仰向けに寝かされているシグナムへと手をかざしている。 シャマルの手を中心に淡い光が放出され、シグナムに降り注ぐ。 先の戦闘にてヴァッシュ・ザ・スタンピードに刻まれた両腿及び右腕の銃創を魔法により治癒しているのだ。 「なぁ……シグナムは大丈夫なのかよぉ……」 傍らでを見守るヴィータが声を上げる。 いつもの豪胆な様子と対照的に、その瞳には、ともすれば今にも零れ落ちそうな涙が浮かんでいた。 そんなヴィータの横には、狼形態のザフィーラ、腕を組み目を瞑りながら柵へと寄りかかるナイブズの姿がある。 「……心配しないで、ヴィータちゃん。弾は貫通してるし急所も外れてる。あと少しで完治できるわ……だから、ね、泣かないで」 額に汗を浮かべながらも、ヴィータを安心させるかのようにシャマルが微笑む。 その言葉が真実だと示すかのように、シグナムの傷は塞がり始めていた。 それを見てヴィータの顔にもようやく安堵が浮かぶ。 「な、泣いてなんかねーよ! ただ心配してやってるだけだ!」 気恥ずかしさを隠すようなヴィータのリアクションに苦笑を浮かべ、シャマルは再び治療へと専念する。 ヴィータもそれを邪魔しないよう、後ろに歩みナイブズ同様柵に寄りかかり、空を見上げた。 それきり静寂が場を包む。 街の喧騒だけが五人の鼓膜を叩き続けた。 「…………ここ、は?」 数分後、その静寂は破られた。 その静寂を破ったのは、気絶していた筈の烈火の騎士。 何時の間にか目を覚ましたのか、ボンヤリとした双眸で虚空を眺めていた。 「気が付いたのね! 良かった……」 「シャマル、何がどうなっている…………あの男は、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは何処に……?」 状況が掴めていないのだろう。 覇気を感じさせない表情に困惑の色を重ね、シグナムがシャマルへと問う。 彼女の覚えている最後の記憶は、黒い服の少年が青い光に包まれたデバイスを自分に振り下ろす光景。 明らかに今の状況とは結び付かない。 「……ナイブズが助けてくれたのよ」 その疑問に対する答えは短く簡素なものだった。 だがシグナムはその一言で全てを理解する。 またこの男に助けられたのだという事に。 「そうか……済まなかったな、ナイブズ」 申し訳なさそうに呟くシグナム。 その何時になく弱々しい態度に反応したのは、ナイブズではなくヴィータであった。 「…………き、気にする事ねーよ! それに、あれからナイブズが管理局の魔導師二人からリンカーコア奪ったんだぜ! 結果オーライって奴だ!」 シグナムを励ますように笑顔を見せ、重苦しい空気を拭おうと大きな声を上げる。 そんな気遣いに気付いたのか、シャマル、シグナムの顔にも笑顔が浮かんだ。 「そうね、今回の戦いでの戦果は大きいわ。上手くいけばあと一週間もしない内に……」 「――無理だな」 だが、ようやく明るくなりかけた空気を一人の男がぶち壊した。 今まで沈黙を守り通した男は、両目を開き柵に寄りかかるのを止め、シグナム達へと歩を進める。 「……何だよ、それどういう意味だよ!」 いきなり意味の分からない事を告げたナイブズへと、真っ先に突っかかったのはヴィータであった。 その表情は憤りと怒りに歪んでいる。 だがそんなヴィータの激昂にも、ナイブズは眉一つ動かさない。 冷静な瞳をヴィータへと向け、淡々と口を開く。 「言葉通りの意味だが?」 「だから、その『無理』って意味が分かんねーんだよ! 何が無理なのか言えよ!」 ヴィータの言葉に、やれやれ、と首を振り、ナイブズは大きくため息を吐いた。 そして一言。 「ならもっと分かり易く言ってやるよ。お前ら、いや俺達に闇の書の完成は無理だ。確実にな」 瞬間、世界が凍りついたかのようにヴォルケンリッター全員が動きを止めた。 誰もがその言葉に衝撃を受け、口を噤む。 そんな中、一人の少女だけがその言葉に噛みついた。 「…………訳の分かんねー事、言ってんじゃねぇよ……。何で無理なんだよ! 今日だって相当な枚数を稼いだんだぞ! あと少しじゃねぇか! 何でそんな事言うんだよ!」 血を吐くような少女の叫びが屋上に響き渡る。その叫びにシャマルとザフィーラは俯き、シグナムは顔を歪めた。 ヴィータには分からなかった。 何故、他の仲間は反論をしないのか。 何故、こんな事を言ったナイブズに怒りを覚えないのか。 何故、ナイブズが――はやてを助けたいと言った筈の男が、このような事を言うのか。 その容姿同様、精神的な幼さを残す少女はただただ感情に任せ、憤りを喚き散らす。 しかし、それでもナイブズの表情はピクリとも変化しない。ただ、呆れたとでも言いたげに両手を広げる。 「単純な理由だよ、ヴィータ…………ただ単純に力が足りないんだ、俺達には」 「は……?」 「もし、敵が管理局の魔導師だけだったなら勝機はあっただろう。確かにあの魔導師達は驚異的な実力を持っているが、お前達だって引けを取らない。充分に勝機はある」 「な、なら……」 ナイブズが首を振りヴィータの言葉を遮る。 「だが奴がいる……あの男、ヴァッシュ・ザ・スタンピードがな」 ヴィータがハッと、何かに気付いたかのように口を閉じた。そんなヴィータを見てナイブズは一つ頷く。 「……そう奴が問題だ。直接戦ったお前やシグナムなら奴の実力が分かる筈だ。奴は強い――恐らくお前達の中の誰よりも。あいつが管理局側につく限り、俺達に勝ち目などない」 ナイブズは断言する。 自らが今どれだけの窮地に立っているのかを。 目標の達成がどれ程遠くに位置しているのかを。 「でも……こ、今回は負けたけど…………次……次は勝つかもしれねーだろ!」 「……今までお前達が管理局と戦闘を行ったのは二回。そのどれも、俺が居なかったら捕まっていたんだぞ?なのに、何故次は勝てるなどと言える? シグナムに聞いてみろ。次に戦闘したとしてあの男に勝てるのか、と。答えは分かりきっているがな」 騎士にとって侮辱とさえ取れる、敗北を意味する言葉。 だがその言葉にもシグナムは怒りを表に出す事をしない。 悔しげに顔を歪めたまま、虚空を睨んでいる。 シグナムは気付いていた。 自分の実力ではヴァッシュ・ザ・スタンピードに適わないであろう事を。 ――最後の一騎打ちの際、自分は本気で奴へと突っ込んだ。 自分の成し得る最速の、最強の、最高の一撃。 だが自分は、敗北した。 奴の攻撃を知覚する事すら出来ずに。 時間の経った今でも、奴がどのような動きをしたのか分からない。ただ、気が付いた時には手足を撃ち貫かれていた。 強い。 強すぎる。 魔導師すら凌駕する反応速度。 卓越した身のこなし。 知覚不能の早撃ち。 針に糸を通すかのような精密射撃。 今まで戦ってきた銃使いとは何もかもが違う。考えうる限り最高のガンマン。 それが奴――ヴァッシュ・ザ・スタンピードであった。 どう戦ったとしても自分の勝てる姿が浮かばない。 シュツルム・ファルケンですら拳銃で叩き落としてしまうのでないか? そんな馬鹿げた考えすら頭に浮かぶ。 (いや、待てよ) ふと、その時ある人物がシグナムの脳裏に閃いた。 それはヴァッシュにも勝つ事ができるであろう人物。 それは―― 「――ナイブズ、お前の能力でもあの男には勝てないのか?」 寝転がった姿勢のままシグナムが疑問の言葉を飛ばした。 その疑問に皆がハッとしたように顔を上げる。 「そうだよ、ナイブズ! お前の『えんじぇるあーむ』ってのなら、奴の事倒せるだろ!」 ――ナイブズが持つ能力の絶大な威力は、守護騎士の誰もが知っていた。 不可思議な光球から生み出される斬撃。 それは魔法生物の堅牢な外殻は勿論、防御障壁や結界すら斬り裂く、異常なまでの力を持つ能力。 ナイブズはその能力の名を『エンジェルアーム』と言った。 シグナムのファルケンやヴィータのギカントと同格、下手したらそれ以上の力を何時でも発動可能なナイブズ。 そのナイブズなら勝てるのでは―― 守護騎士達の目に希望が映る。だがナイブズは、その希望を絶つかのように首を左右に振った。 「……確かに奴が銃だけで戦いに望むのならば俺にも勝利が見えてくるかもしれない。……だが、無理だ」 「な、何でだよ……」 「……奴も俺と同じ能力を持っているからだ……しかも俺以上の威力を有した力をな」 そしてナイブズは語りだす。 ヴァッシュが自分と同じ世界の住人で、自分以上の力を秘めた『エンジェルアーム』を持つ事。 ヴァッシュの危険性――一度その力を使い、一つの都市を丸々吹き飛ばし事。 そして、自分がヴァッシュのエンジェルアームによりこの世界に飛ばされた事。 全てを語った。 数分にも及ぶ長い長い語りの後、口を開く者は誰もいなかった。 この時、守護騎士達の胸に宿っていたものは絶望。 都市一つを吹き飛ばす馬鹿げた『力』。 その『力』を使用していないヴァッシュにも、歯が立たない自分達。 悔しさを通り越して情けなくなってくる。 「……どうすりゃ良いんだよ! そんな化け物と戦ったって、勝てる訳ねーじゃんか!」 「…………ヴィータちゃん」 「ナイブズ……なにか勝つ方法はないのか?」 暗い影をその表情に浮かべながら、シグナムが呟く。 その問いの答えは―― 「……ない訳ではない」 「え?」 ――シグナムの予想とは違っていた物だった。 「なに……?」 「…………奴がエンジェルアームを使用しないという条件つきだけどな」 「何だよそれ! 最初に言えよ!」 「多分お前らは、この手段を肯定しない……それでも聞くか?」 「当たり前だ!」 憤慨するヴィータを見つめ、呆れたように、それでいて何処か嬉しそうにナイブズは微笑む。 「分かった、話すさ……。だが、この行動を取るかどうかは、お前らの自由だ。強制をするつもりはない」 大きく息を吸い込み、一息に『ヴァッシュに勝つ方法』を語るナイブズ。 その内容とは、 「――殺す気で戦うんだ」 その一言が再び場を凍り付かせた。 「な、何を……」 ヴィータの困惑の声も無視しナイブズは続ける。 「お前達のデバイスに仕組まれている非殺傷設定とやらを解除して、全力で、奴等を殺す気で戦え。そうすれば勝機が見えてくる」 そのナイブズの話を聞く守護騎士達は、真摯から驚愕、憤怒へとその表情を変えていく。 そして話を聞き終えると同時に―― 「ふざけんな! そんな事できる訳、ねーだろ!!」 ――ヴィータの怒号が響き渡った。 シグナムやシャマル、ザフィーラも憮然とした表情でナイブズを睨む。 それらの視線にナイブズは肩を竦める事しか出来なかった。 「……私もヴィータに同感だ。お前の言った行動は主との約束に反する。それだけは……出来ない」 そのシグナムの言葉には絶対的な拒絶の意が含まれていた。 シャマルとザフィーラもシグナムに同意するかのように首を縦に振る。 「……それでも良い。それがお前たちの選んだ道なら俺は何も言わない」 ナイブズは四人の守護騎士達、それぞれに視線を見回し頷く。 その表情はただただ無表情。 真っ正面から四人の視線を受け止めていた。 「だがな、俺はこの道を進む。何をしようとはやてを救ってみせる」 最後にその言葉を残し、ナイブズは守護騎士達に背を向けようとし―― 「止まれ」 ――喉元に烈火の剣を突き付けられた。 「なんの真似だ、シグナム?」 「貴様……自分が言っている意味が分かってるのか」 そう言うシグナムの顔には怒りの感情が映し出されていた。 愛剣を片手に、射殺すような眼でナイブズを睨み付ける。 「貴様は人を殺すと言ったんだぞ。主との約束を忘れたのか? 人の命を奪う行動だけは……許さん」 混じりっ気なしの怒気を受けながらもナイブズはその表情を崩さず、シグナムとは対称的な無感情な瞳を向ける。 「何故、お前らに許しを請う必要がある? 俺の行動は俺が決める。お前らには関係ない」 それに、と一旦言葉を切り、同時に無感情な瞳にある光が灯った。 「言っただろう。今のままでは万に一つも勝ち目はない。今までと同じ戦い方じ ゃ確実に闇の書は完成しない……はやては――死ぬ」 『はやては死ぬ』その言葉に烈火の剣が揺れる。 二人の成り行きを黙って見ていたシャマル達も苦虫を噛み潰したような表情になった。 「どんな汚い手を使おうと、俺は絶対にはやてを救う……。 はやてとの約束を破る事になっても……必ずに」 「だが……!」 「……話は終わりだ。俺は少し時間を置いてから家に戻る。お前達は先に戻ってろ」 最後にそう残し宙に飛び上がるナイブズ。 守護騎士達は思い詰めた表情で、遠ざかるその姿を見詰めていた。 □ 「種は植えた。あとは奴等の反応待ちか……」 それから数分後、先程の場所から数百メートル離れたビルの屋上にナイブズの姿はあった。 首尾は上々。 ナイブズは、夜空を見上げ思考する。 ――今日の戦闘で、奴等は自分達の置かれている状況が如何に危ういかを知った。 自分達と互角の実力を持つ管理局の魔導師達。 守護騎士の中で最強であるシグナムを完敗させたヴァッシュ・ザ・スタンピード。 ヴァッシュが持つエンジェルアームの存在。 奴等の心の中には相当な危機感が芽生えている筈だ。 そして俺の助言により、奴等の持つ『不殺』という信念にほんの僅かなヒビが入った。 このヒビが拡大するか、収縮するかは分からないが、奴等の甘っちょろい精神に一手差し込んだ事は大きな意味を持つ。 ようやく、覚醒の可能性が見えてきたと言っても良いだろう。 「まぁ、それでも奴等が勝てるとは思えないがな」 先程の会話で、ナイブズは嘘をついた。 一つはヴァッシュのエンジェルアームに自身の能力では勝ち目が無いという事。 守護騎士達に絶望を与える為にあのような嘘言を口にしたが、ヴァッシュが能力を使いこなしていたとしても、ナイブズは遅れを取る気など更々なかった。 もう一つは非殺傷設定を解除すればヴァッシュに勝利する可能性が出て来るという事。 今よりは良い勝負になるかもしれないが、勝利を手にする事は確実に無い。 それは、プラントの優秀さを信じて疑わないナイブズならではの思考であった。 そして最後にもう一つ。 『はやてを救う』――守護騎士達に告げたこの言葉だ。 ナイブズにとって、はやての身体の事は大して重要ではない。 重要なのは闇の書の完成。そしてそれに伴うはやての覚醒。 それ以外に意味はない。はやてを『救う』つもりなど、ナイブズには欠片もなかった。 「演技とはいえ反吐が出る……クソ甘い奴等には有効な言葉だがな」 自嘲的な笑みと共にクッと喉を鳴らすナイブズ。 そして、 「さてと」 緩やかな動作で背後に振り返り――小さな、指先に乗る程度の極小の『門』が空中に現れた。 「三秒だけ待ってやる、出てこい。出てこないのなら殺す」 ナイブズが無人の虚空に向かい語りかける。 一秒経ち、二秒経っても誰かが現れる気配はない。 しかし三秒目にして遂に、一人の男が右隣のビルからナイブズの元へと飛んだ。 スラッと延びた長身に青色の髪。そして、およそ感情が感じられない無表情を映した仮面。 男は明らかに異質な恰好をしていた。 「管理局との戦闘の時からずっと俺の事をつけていたな」 だがナイブズはその男の姿に驚く事なく、『門』はそのままに問い掛ける。 返答代わりに仮面の男は首を縦に振った。 「理由を言え」 言わなければ殺す。指先の『門』が無言で語っていた。 数秒の思考の後、仮面の男が口を開く。 「……お前はイレギュラーな存在だ。俺達の策に何かしらの影響が出るかもしれない。そう考え監視させてもらった」 「その策とは何だ」 「それは……言えない」 ――瞬間、刃と化した左腕が仮面の男の喉元に突き付けられた。 「勘違いするな。俺は頼んでる訳じゃない、命令しているんだ」 明確な殺気が込められたその言葉に男は押し黙る。そして、躊躇いを見せながらゆっくりと語り出した。 「……俺達の目的は闇の書の完成。そして封印だ」 それからの男の語りは数分にも及んだ。 闇の書の特性。 完成させた時、何が発生するか。 破壊したとしてもまた別の次元世界にて復活を遂げる事。 守護騎士さえも知らない事実を仮面の男は語った。 「それが全てか」 「……ああ、そうだ」 数分後その言葉を最後に、ナイブズは興味を失くしたかのように仮面の男から視線を外し、何かを考え込む。 「闇の書の闇……暴走、か。……面白い」 そう呟くナイブズの顔にあるのは微笑み。 一度、首を縦に動かし顔を上げる。 「……良いだろう。貴様は貴様で動け」 「……止めないのか?」 「あぁ。今のところ目的は同じ。貴様を止める理由はない。だがな――」 ナイブズの表情から微笑みが消える。無表情に仮面の男を見つめ一言告げた。 「――もう一度、俺を追跡するなど嘗めた真似をしてみろ。次は一片残さず消し去るぞ」 「……分かった」 凍り付いたかのように動きを止めた口から、何とかその言葉だけを絞り出し、仮面の男は頷いた。 「なら行け」 その言葉に跳ねるかのように、仮面の男は空に飛び出した。 闇に消えていくその姿を見つめナイブズは再び笑みを浮かべる。 「闇の書……か。予想以上に使えそうだな」 抑えるような笑い声が無人のビルに響き渡った。ナイブズの脳内にはどのような未来が映し出されているのか。 孤独の王は一人、笑う。 □ 「フェイトちゃん……クロノ君……」 管理局本部の医務室。 ちょうど今日、なのはが完治と告げられたその場所にフェイトとクロノの二人は寝かされていた。 「……取り敢えずのところ、二人とも命に別状はないそうです」 リンディの声が部屋に響く。 部屋の中に居るのはなのは、ユーノ、アルフ、エイミィ、リンディの六人。 誰もが心配そうな表情で、ベッドに横たわる二人に視線を送っていた。 「フェイトちゃんはリンカーコアを奪われた他には大した外傷はありません。 クロノ執務管の傷は重いけど、ユーノ君の応急処置が適切だった事もあり、二週間もあれば復帰できるそうよ」 リンディの報告に表情を明るくする者はいなかった。 怪我の具合がどうあれ、二人の仲間が墜とされたのだ。 六人の表情は重い。 「チクショウ! よくもフェイトを!」 「リンディさん……フェイトちゃんとクロノ君は守護騎士が?」 怒りに身を任せ壁を殴るアルフに続き、なのはが疑問の声を上げる。 その表情は先程までの重苦しいものから明確な怒りに塗り替わっており、周囲の人間をたじろかせる程の空気を纏っていた。 「……フェイトさんは守護騎士の一人に、クロノ執務管は突然現れたアンノウンに撃墜されました」 「アンノウン? それは……?」 「……見た目は普通の男性。ただその戦闘力は異常ね……あの男に関しては後でみんなにも映像を見てもらうわ」 この場にてアンノウン――ナイブズの戦闘を見たのはエイミィとリンディの二人 のみ。 フェイト達を本部へと移送している途中に見た映像。それを見てリンディは大いに驚愕した。 ――自由自在に形状を変える左腕。 ――反撃すら許さずにクロノを墜とした、また十数人の武装局員が形成した結界を易々と破壊した謎の攻撃。 その異常な戦闘力は映像からでも充分に伝わっていた。 人の形をした何か。 それは魔法という言葉でも片付けられない程の、あの守護騎士達さえも超越している馬鹿げた『力』。 どんな戦法を取ろうと、どんな戦略を取ろうと勝てる気がしない。 どうすれば勝利を導けるか。 リンディの頭の中には、出口の見えない迷宮が続いていた。 「艦長、そろそろ……」 と、その時、横に立っていたエイミィがリンディに声を掛けた。 思考に没頭していたリンディは驚いたように顔を上げる。 「え?あ……そうね。もうこんな時間だし、なのはさんとヴァッシュさんは一旦帰った方が良いわ」 エイミィの言わんとした事を直ぐさま理解し重い空気を打ち破るように、リンディは明るく告げる。 「でも……」 「クロノとフェイトさんの事なら気にしないで。私達が着いてるから」 「……分かりました。それじゃ失礼します。ユーノ君とアルフさん、じゃあね」 僅かな逡巡のあと、なのははペコリと頭を下げ扉から出て行った。 軽快な音ともに閉まった扉を眺めながらエイミィが口を開く。 「……なのはちゃん、大分こたえた顔してましたね……」 「そうね……」 エース級の腕を持つとは言え、なのははまだ九歳。 そうでなくてもあれだけ優しい性格をしているのだ。仲間であり親友である二人が墜とされた事は、相当なショックを与えただろう。 「そこら辺のケアも考えなくちゃね……」 「ですね……」 万全な状態で挑んだ戦闘にも関わらず、一人の男の登場によりこちらは相当な手傷を負った。 (なんとかしなくては――) 部下の命を預かる指揮官として重い重いプレッシャーがリンディの両肩にのし掛かっていた。 □ 目の前に映るマーブル色の不思議な空間。 背もたれも無い椅子に腰掛けながらヴァッシュはジッとその光景を眺めていた。 (――どうすれば良いんだ) さっきから同じ言葉が頭を回っている。 突然現れたナイブズ――自分が追い続けた仇敵。 レムの敵にして人類を滅ぼそうと企てる危険な男。そして自分の兄弟。 ――思い出される記憶。 ――ジュネオラロックでの邂逅。 ――白コートの男を押し潰し現れるナイブズ。 ――迫るナイブズの右手。 ――極光。そして途切れる意識…… 奴は自分も知り得ない『何か』を知っている。 そして、それは恐らく『ロスト・ジュライ』に関係している。 ――危険だ。 ナイブズが関われば、非殺傷設定で行われる戦闘とは違う、本当の意味で命を賭けた戦いになる。皆を、なのは達を巻き込む訳にはいかない。 ――だけどアイツは闇の書の守護騎士達と手を組んでいる。 おそらく奴の狙いは自分ではなく闇の書。 自分が消えたところで、管理局が闇の書事件に関わる限りナイブズは必ず現れるだろう。 「くそっ……どうすれば……」 なのは達を巻き込みたくない。だけど自分が消えたところでナイブズは現れる。 なら、自分が戦うしかない。全身全霊を賭けて。――でも瓦礫だらけのジュライと、この世界に飛ぶ前の極光が頭から離れない。 「奴は……何を……俺に秘められた何を知っているんだ……」 怖い。 奴との戦いになのは達を巻き込んでしまうのが怖い。 この平和な街を巻き込んでしまうのが怖い。 「どうすれば……」 ――哀願するようなヴァッシュの呟きが廊下に響いた。 前へ 目次へ 次へ
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明朝、桜台登山道。 まだ陽も昇りきっていない時刻の中、高町なのはとヴァッシュ・ザ・スタンピードは相対していた。 なのはの手中にはレイジングハート。 ヴァッシュの手中には無銘のリボルバー。 互いの手中にはそれぞれの得物が握られていた。 「いきますよ、ヴァッシュさん」 「お手柔らかに」 両者は僅か2メートル程しか離れておらず、殆ど手を伸ばせば届く距離だ。 静けさが場を包む。 僅かに汗ばんだ手でレイジングハートを握り締め、なのはが動いた。 まるで槍を扱うかのようにレイジングハートをヴァッシュへと突き立てる。 ―――カチン が、レイジングハートの矛先は横殴りに叩き付けられたリボルバーにより、横へと流される。 代わりとして、なのはの眼前へと突き立てられるリボルバーの銃口。 なのはは体勢を整え、再度レイジングハートを振るう。 金属音が鳴り、今度はリボルバーが横へと流れた。 そこからは断続的に金属音が鳴り続ける。 カチカチカチと、レイジングハートとリボルバーとが火花を散らし、互いの射線を奪い合う。 小気味よいテンポで繰り広げられる応酬は、とてもゆったりとしたもの。 まるで舞踊の如く緩やかで、だが本人からすれば全力全開の攻防が、一定のリズムで続いていく。 なのはの額に雫が溜まり、足元へと垂れ落ちる。 流れる汗はそのつぶらな瞳にも侵入するが、なのはは拭う事すらしようとしない。 高まる集中力が、行動を一本化させていた。 それは近接戦闘をイメージした訓練。 なのはの苦手とする、近接の間合いでの砲撃戦の訓練であった。 近接戦闘での『砲撃を当てる方法』をなのは風に考えた結果が、この訓練である。 相手の武器を払いのけて射線を取り、砲撃を撃ち込む。 先の模擬戦でヴァッシュがなのはにしてみせた攻防が、発案の切欠となっていた。 とはいえ、近接戦を不得手とするなのはには、この訓練は過酷の一言。 中距離、遠距離での訓練は順調な経過を見せているにも関わらず、近距離を主とするこの訓練は遅々として進展していなかった。 「はい、ここまで。なかなかやるようになったじゃん、なのは」 ヴァッシュの一言になのはの動きが止まる。 時間にして十分ほど続けられた射線の取り合いが、音もなく終わった。 金属音が鳴り続けていた周囲に、久方振りの静寂が舞い戻る。 「うー、何で上手くいかないんだろ。イメージではもっと早く動かせるんですけど」 「焦っても仕方無いって。こういうのは慣れと経験だよ」 滴る汗を拭いながら、なのははレイジングハートをスタンバイモードへと戻す。 紅色の宝玉と化したレイジングハートを首に掛け、ヴァッシュの方へと視線を向けた。 疲労の欠片すら見せず、飄々と笑顔を浮かべてタオルを差し出すヴァッシュがそこにいた。 差し出したタオルを受け取り、更に汗を拭うなのは。 動作による疲労というより、極度の集中状態からの疲労が主といったところか。 「それに相当よくなってきてると思うよ。訓練を始めてまだ何日と経ってないんだ。これだけできりゃあ凄いもんさ」 ヴァッシュの言葉に偽りはなかった。 あの模擬戦から数日しか経過していない今、それでも目に見える成果が上がっているだけでも驚嘆に値する。 天才の一言では語りきれない才覚が眼前の少女には眠っている。 そうヴァッシュは確信していた。 「そうですか? そう言われると嬉しいですけど……ヴィータちゃん達がいつ現れるか分からないからなぁ」 なのはは、守護騎士達を止める力が欲しいと言っていた。 世界に崩壊をもたらす魔導書・『闇の書』。 『闇の書』を完成させる為に活動する守護騎士達。 守護騎士達の活動は世界の崩壊をもたらし、数多の命を呑み込んでいく事となる。 そんな守護騎士達を、止める。 倒すでも、殺すでもなく、止める。 心中に宿る優しさが、その言葉を選択させたのだろう。 「……最近は探知にも引っかからないしね。蒐集活動もどうなってる事やら」 しれっと語りながらも、ヴァッシュはなのはに虚言を飛ばした。 結局、ヴァッシュと守護騎士達との繋がりも断裂してはいない。 相変わらず敵意まるだしの守護騎士達だが、実質弱味を握られている現状ではヴァッシュを無視する事ができない。 何度か蒐集活動に参加し、それなりの戦果はあげている。 どさくさ紛れに攻撃される事も多々あったが、そこら辺はヴァッシュにとって慣れた物。 飄々と受け流して無事に帰還を果たしていた。 「……ヴァッシュさんは、どうしてヴィータちゃん達が『闇の書』の完成を目指しているんだと思います?」 ボンヤリと道場を眺めていたヴァッシュへと、なのはが唐突に問い掛けた。 守護騎士達の戦う理由、『闇の書』を完成させたがる理由。 ヴァッシュはその問いの答えを知っていた。 八神はやて。 それが守護騎士達の戦う理由にして、全てであった。 強大な力を持つ管理局と対立してでも、過酷な蒐集活動をこなしてでも、救いたい存在。 守護騎士達には引けない理由がある。 そして、引けない理由はなのは達にも、管理局にもある。 ヴァッシュはそのどちらの事情も知っていた。 「どうしても引けない理由が、あるんだと思う。彼女達の覚悟は相当なものだ。そりゃもう世界を敵に回す覚悟だってあるだろうね」 「ヴァッシュさんも……そう思いますか」 こう見えてなのはは中々に鋭いところがある。 薄々、守護騎士達の覚悟の度合いも察していたのだろう。 顔を俯かせながら、少し物思いにふけるなのは。 なのはが何を思考しているのか、何となくではあるが、ヴァッシュにも予測がつく。 「世界を敵に回してでも守りたいものって、何だと思います?」 「……難しい質問だね」 「私も、そう思います。でもヴィータちゃん達の気持ちを知るには必要な事だと思って」 「世界を敵に回してでも、か……」 世界を敵に回してでもという言葉に、ヴァッシュはふと仇敵であるナイブスの姿を思い出す。 世界を敵に回して同種の解放を目指す男。 ナイブスはこの世界に於いても人類の滅亡を望んでいる。 ヴァッシュにすら分からない強大な力を使用して、そして世界を滅ぼす力を持つ『闇の書』を利用して、人類を根絶やしにしようとしている。 絶対に止めなければいけない敵であった。 「質問の答え、考え付きました?」 「そうだね……僕だったら、できるだけ誰とも対立しないような道を目指したいな。守りたい人も守れて、世界も敵に回さないような道をね」 「それが出来なかったらって、前提があっての話なんですけど。……でも、ヴァッシュさんらしいかも」 「そうかい? なのはだって同じ道を目指すと思うよ」 「そうですかね?」 「そうさ」 闇の書、八神はやて、守護騎士、ナイブス、時空管理局。 様々な要因が組み合わさって引き起こされた今回の事件。 世界の滅亡を賭けた、余りに大規模な戦い。 あの砂の惑星で繰り広げられた銃撃戦とは、何もかもが違う。 しかし、ヴァッシュは誰も死なない魔法のような解決を望む。 誰もが幸福となる奇跡のような解決を。 「……なのはは、守護騎士達が戦う理由を知りたいかい?」 朝日が差し込み始めた道場にて、ヴァッシュはなのはへと視線を向けて問い掛けた。 「知りたいです。まずは話を聞かなくちゃ、話を聞いて貰わなくちゃ、何も始まらないと思うから」 問い掛けになのはは微塵の迷いもなく答えた。 紡がれた答えに、ヴァッシュは笑顔を浮かべる。 「話を聞かなくちゃ、聞いて貰わなくちゃ、か。うん、そうだ。そうだよ、なのは」 ヴァッシュはなのはの言葉を嬉しそうに反唱し、立ち上がった。 何処か晴れ晴れとした表情でヴァッシュはなのはに振り返る。 「今日の放課後、またここにに来てくれないか。大事な話があるんだ」 「大事な話?」 「そうだな、出来ればフェイトも連れてきて欲しいな。大事な……本当に大事な話があるんだ。必ず来てくれ」 「えと、分かりました」 ヴァッシュはそう言うと練習場から去っていった。 「大事な話かあ。何だろう?」 赤色のコートを朝風にたなびかせて歩き去るその背中を見詰めながら、なのはは笑顔で呟いた。 ヴァッシュ・ザ・スタンピード。 優しく、お調子者で飄々としていて、でも数え切れない傷を心身に負ってきた男。 なのはにとってヴァッシュは憧れに近い存在であり、そして守ってあげたい人の一人であった。 とある世界にて深い深い悲しみを背負い続けてきたヴァッシュ。 とある世界にて最強のガンマンとして君臨し続けたヴァッシュ。 その全てが、話に聞いたに過ぎない。 実際にヴァッシュがどのような生活を送ってきたのか、なのはは見たこともないし、想像するにも限界がある。 でも、分かる事だってある。 ヴァッシュが傷ついているという事実だけは、なのはにも理解できていた。 初めて出会った時のボロボロな様子、時折見せる暗く儚げな表情、そして―――ある一定のライン以上に他人を踏み込ませる事のない心。 なのはは、気が付いていた。 「……もっと人を頼っても良いんですよ、ヴァッシュさん」 呟きは誰に聞こえる事もなく消えていった。 大事な話とやらに僅かに心を踊らせながら、一抹の寂しさに心をくすぶらせながら、なのはは家路に付いた。 ◇ シグナムは八神家のソファに腰掛けて、暗闇に染められた世界を眺めていた。 深夜の蒐集活動を終えたばかりという事もあって、身体は膨大な疲労感に包まれている。 だというのに、眠れない。 疲労に満ちた身体とは裏腹に、意識は鮮明に覚醒していた。 (闇の書の完成が世界を滅ぼす……か……) シグナムは考えていた。 数日前、ヴァッシュから伝えられた言葉。 闇の書が完成すれば世界を滅ぼしかねない力が暴走するという事。 主の死と共に幾数の転生を繰り返してきた『闇の書』。 確かにこれまでの主の死が如何なるものだったかの記憶は薄い。 『闇の書』の覚醒の時は覚えていれど、それ以上の記憶があやふやなのだ。 その空白の記憶が疑惑に信憑性を持たせる。 信じられない、信じたくない言葉であった。 「シグナム、起きてたのかよ」 思考に没頭しているシグナムに声が投げ掛けられた。 声のする方に視線を飛ばすと、そこには片手にうさぎのぬいぐるみを握った鉄槌の騎士の姿があった。 彼女も蒐集活動から帰還したばかりだというのに、寝付けずにいるようであった。 幼い顔には僅かにくまが浮いていた。 「……早めに寝ておけ。日中の生活に支障をきたすぞ」 「人のこと言えねーだろ。シグナムも早く寝ろよ」 ヴィータは言いながら、シグナムの横へと腰掛ける。 ポスン、という音が響きソファが僅かに沈んだ。 隣に座る、という事は何らかの会話でも求めてきたのだろうが、ヴィータが口を開く様子はない。 ヴィータは主から貰ったぬいぐるみを抱き締めながら、険しい顔で床を睨んでいた。 何かを考えているようであった。 沈黙が続く。 ヴィータは視線を下に向け、シグナムは視線を上に向け、沈黙する。 「……なぁ」 どれ程の時間が経過したのであろうか、ヴィータがポツリと呟きを零した。 視線は動かさず、床を見詰めたままに放たれた言葉。 シグナムは無言で先を促す。 既にカーテンからは淡い朝日が差し込んできており、空は白み始めていた。 「シグナム……何か、私たちに隠し事してねえか?」 続いで出たヴィータの言葉に、シグナムの心臓が跳ね上がった。 愕然の表情で、シグナムはヴィータの方へと顔を向ける。 床を睨んで言葉を紡ぐヴィータの姿が視界に映った。 「最近、なんか変だ。落ち込んでるっていうか、ふさぎ込んでるっていうか、悩んでるっていうか……とにかく変なんだよ、シグナム」 一度動き始めた口は止まらない。 溜め込んだ想いを吐露し続ける。 「シャマルも、ザフィーラも、ナイブスも……はやてだって心配してた。あん時からだ。お前がアイツと二人きりで喋ったあの時から、何か変だ」 語尾が段々と荒がっていく。 理性の歯止めが効かなくなってきていた。 「どうしたんだよ、シグナム……どうして何も言ってくれねえんだよ!」 そして、爆発する。 シグナムへと振り返ったヴィータの顔には、怒りと悲しみがない交ぜになった不思議な表情が張り付いていた。 「私達は家族だろ。何で相談しねえんだよ、何で一人で背負い込もうとしてるんだよ! シグナムがアイツに何を言われたのかは分かんねーよ。でも、一人で背負い込む事はねえだろ! 少しは私達を頼ってくれよ! アタシ達はそんなに頼りねえのかよ!」 語りきったヴィータは、瞳に涙を溜めながらシグナムを睨んでいた。 その瞳をシグナムは呆然と見詰める。 再び、沈黙が流れ始める。 重い、重い、沈黙が。 「……ごめん、感情的になりすぎた」 沈黙を破ったのは、やっぱりヴィータであった。 涙の溜まった瞳を下に向け、ゴシゴシと手で擦る。 ヴィータはそれきりシグナムに背中を見せて、寝室の方へと歩き去ってしまう。 その背中に声を掛けようとして、だが掛けるべき言葉が浮かばない。 ヴァッシュから聞かされた『闇の書』の事実は、絶対に語る訳にはいかない。 真実かどうかも怪しい所だし、聞いた事でヴィータもこの苦悩を味合わう事になる。 それだけは嫌であった。 だが、此処まで自分の事を心配してくれたヴィータをこのまま見送るのは嫌であった。 何か言葉を掛けてあげたい。 だがしかし、考えれどシグナムの脳裏に気のきいた言葉は浮かばない。 沈黙のまま、ヴィータはドアノブへと手を掛ける。 そして、ドアノブを下げる。 ガチャリという音が、いやに大きく響いた。 そこで―――何かを叩くような軽い音がなった。 音はリビングの一角にある窓から聞こえたものであった。 誰かが窓を叩いている。 こんな時間に、玄関からでなく裏窓の方から現れた時点で、怪しさは全開であった。 ヴィータの動きが止まり、不審気な表情で振り返る。 シグナムも警戒態勢に入り、レヴァンティンを発現させ装備する。 窓からはノックの音が鳴り続いていた。 シグナムが窓へと近付き、カーテンを引き上げる。 「や、おはよう」 其処には、鮮やかな金髪を天へとトンがらせた男・ヴァッシュがいた。 片手を上げ、親しげに挨拶を飛ばす男に、思わずシグナムの理性が吹き飛びかける。 このまま窓越しから、斬り伏せてしまいたかった。 それだけで頭痛の種の半分は消化できるように思う。 「……何の用だよ」 ヴァッシュへと声を投げたのはヴィータであった。 嫌悪の感情を隠そうともせず、敵意に満ちた瞳でヴァッシュを見ている。 手中の人形には指が食い込んでいた。 「伝えたいことがあってね」 ヴァッシュの視線がヴィータからシグナムへと移る。 シグナムの姿を見たヴァッシュは一瞬、目を細めた。 「……夕方、そうだな4時位にでも桜台の登山道にある広場へ来てくれ。この事はシグナムとヴィータとだけの秘密にして欲しい。待ち合わせにも二人できてくれ」 その時ヴァッシュの瞳に宿った感情が如何なるものなのか、相対しているシグナムにだけは理解できた。 恐らくは、謝罪の念。 口には出さねど、瞳は語っていた。済まない、と。 その瞳がどうしようもなくシグナムを苛立たせる。 謝るくらいなら、知らせなければ良い。 知らねば何も苦悩せずに済んだのに。 何も苦悩せず、主の救済に専念する事ができたのに。 思わず心が沸騰する。 心中を占めるその感情は、久しく感じていない『 』であった。 レヴァンティンを握るシグナムの手が震えていた。 「頼む、大事な話があるんだ。絶対に、絶対に来てくれ」 シグナムは感情を隠そうとしなかった。 『 』を表情に張り付けて、シグナムはヴァッシュを見る。 ヴァッシュにもシグナムを占める感情がひしひしと感じ取れた。 感じ取れて尚、口を動かす。 「……頼む」 シグナムもヴィータも、返答はしなかった。 ヴァッシュも返答を期待していなかった。 ヴァッシュはそれきり無言で歩き去っていく。 二人の守護騎士を、痛いくらいの静寂が包み込んでいた。 ◇ 「……やはり動き出したか」 そして、とあるビルの屋上にてナイブズが一人呟いた。 徐々に活動を始めた海鳴市。その全てを見下ろすような形でナイブズは立ち尽くしていた。 表情に感情はない。無表情でただ海鳴の街を見下ろす。 何処へ向かうのか、車を走らせる人間。 携帯で誰かと会話しながら街を歩く、スーツ姿の男。 わらわらと人々で溢れかえる。 人々は時間の経過と共に、急激な勢いで増えていく。 まるで害敵の到来に巣穴から飛び出す虫螻のようだ。 ナイブズの表情が僅かに険しくなる。 「分かっているな。先に伝えた通りに動け」 次の呟きは決して独白ではなかった。 何時の間にやらナイブズの後方には二人の男が立っていた。 男達の姿は瓜二つで、顔に装備した奇妙な仮面が印象的な男達である。 男達はナイブズの言葉に無言で頷き、蒼色の発光現象に包まれて消えた。 転移魔法であった。 「……ヴァッシュ、お前の足掻きももう終わりだ」 そしてまた、独白が続く。 人々を見下ろし、人外の種は呟く。 「知れ。そして絶望しろ」 終焉を告げる宣告がなされた。 無表情の鉄仮面は愉悦の色へ。 ナイブズは歪んだ笑みを浮かべながら、訪れる未来に思い出してを馳せていた。 ◇ 同日、昼過ぎの喫茶店・翠屋。 平日という事もあってか客はまばら。 現在、そんな翠屋のレジに高町士郎は立っていた。 とはいえ客もいないので行う事はない。 クリスマスに向けてのケーキ仕込みも順風満帆で、特別昼の時間を削ってでも行わねばいけない事などなかった。 現状を端的に現すならば『暇』の一言である。 監視役の桃子も今は買い出し中だ。 客入りが激しくなる午後まではノンビリ過ごそうかと考えながら、士郎は視線を窓の外へと向ける。 そこでは箒を持った箒頭が欠伸をしながら、店先を掃除していた。 彼が高町家に来てから既に1ヶ月程が経過している。 付き合った時間はそう長くはないのに、彼は面白いほどに周囲に溶け込んでいた。 身体を傷だらけにしながらも、地獄のような世界を旅してきた男。 『人間台風』の異名で、国家予算並みの懸賞金をその首に懸けられた男。 今の彼からは想像もできない、というのが士郎の正直な感想であった。 「士郎さ~ん、店先の掃除終わりました~」 間の抜けた声が響く。 温和な笑顔で入店するヴァッシュが目に入った。 そんなヴァッシュに士郎はハァ、と溜め息を吐く。 思わず呆れ顔で士郎は口を開いていた。 「ヴァッシュ君。君、また何か思い詰めてるだろう?」 虚を突かれたヴァッシュはポカンと口を開けてその言葉を聞いていた。 そんなヴァッシュに構わず、士郎は言葉を続ける。 「君は楽観的に見えて、中々に悩み易いようだね。せっかく良い表情になったと思ったのに、最近また何かに悩んでる。今日は特に、だ」 言葉を区切り溜め息一つ。 首を左右に振って、両手を掲げる。 やれやれ、とその動作が語っていた。 「……今日、何かを決心したんだろう? 僕には何も分からないけどさ、でもアドバイスくらいは出来る。 ―――自分が後悔しないようにすると良い、それだけさ」 そして、満面の笑みで士郎はヴァッシュに言った。 その言葉はヴァッシュの心に、どのように届いたのだろうか。 ただヴァッシュは茫然と士郎を見ていた。 「応援してるよ。全てが終わったらまた酒でも飲もう、月でも見ながらね」 ヴァッシュの表情が徐々に変化していく。 茫然に段々と感情の色が灯る。 表情を覆う感情は喜びだった。 いつもの満面の笑みとは違った、薄い薄い微笑み。 でもそれは、士郎が今まで見て来たヴァッシュの笑顔の中で最も中身の籠もったものに思えた。 「楽しみにしてるよ」 「僕も……楽しみにしてます。ああ、楽しみだ」 男二人の昼過ぎはこうして経過していく。 魔法少女と守護騎士との約束の時まで、あと数時間であった。 ◇ 「……大丈夫、これで上手くいく筈だ」 そして、夕刻の桜台登山道。 毎朝、魔導師の練習場として活用されている場所に、ヴァッシュ・ザ・スタンピードはいた。 ベンチの一つに腰掛け、祈るように手を組みながら前方を睨む。 魔法少女と守護騎士との邂逅の場は整えた。 全てを知り合う邂逅の場。 互いの気持ちを通じ合わせ、誰もが助かる道を歩む。 八神はやても、この平穏な世界も救える、そんな魔法のような道。 それを、歩む。 魔法少女と守護騎士、全員でだ。 その第一歩、最初の邂逅を此処で成す。 ぶつかり合うだろう。苦悩もさせるだろう。明確な対立すら起こるだろう。 その道を歩むという事は苦難の連続なのかもしれない。 でも、それでも、この選択がエゴでしかないとしても―――その道を歩みたい。 それがヴァッシュ・ザ・スタンピードの選択であった。 「や、待ちかねたよ」 来訪者の登場に、逡巡と謝罪の念を胸の奥へと仕舞い込む。 ヴァッシュは朗らかな笑みを浮かべて、前を見た。 来訪者に視線を合わせて、ヴァッシュは軽い挙動で立ち上がる。 白銀の拳銃が陽光に照らされ、光った。 「来ると思ってたよ、ナイブズ」 淡い夕焼けを背に登山道から現れた者は、ナイブズであった。 人類の滅亡を夢見る、ある意味では至極純粋な心を持った男。 ヴァッシュとナイブズ、二人の人外が対峙する。 「此処でシグナム達を懐柔される訳にはいかんからな。少しの間、眠っていて貰うぞ、ヴァッシュ」 「ご自由に。俺も全力で抵抗させて貰うけどね」 返答と共にヴァッシュが拳銃を抜いた。 ナイブズも溜め息混じりに左手を掲げる。 「……考えを改めるつもりはないようだな」 「もちろん」 ナイブズの言葉にヴァッシュは笑みで応える。 ヴァッシュの言葉にナイブズは失意をもって応える。 次元を越えた世界にて対峙する二人の兄弟。 一世紀半にも及ぶ因縁に終わりを告げるべく、ヴァッシュは拳銃を握る。 此処で倒れても構わない。 この男さえ止めれば、彼女達は自らの足で先に行ける筈だ。 少なくとも高町なのははそうだ。 必ず最良の道を歩んでくれる筈だ。 そう信じられるから、ヴァッシュは拳銃を握れる。 ナイブズという底知れぬ強敵とも立ち向かえる。 「いくぞ」 「ああ―――」 自分は、命に換えても、この男を倒す。 何があろうと絶対に。 ヴァッシュは自身の右手に全ての神経を集中させる。 勝利を託すは、何千何万と引き金を引き続けてきた右腕。 数多の危機を救ってくれた早撃ちに全てを賭ける。 そして、ヴァッシュは右腕を動かそうとし、 「―――だが、今日お前の相手をするのは俺じゃあない」 直前、光が発生した。 白色の光の輪っか。 唐突に出現した光の輪が、ヴァッシュの四肢を空間に縫い付ける。 驚愕に染まった顔で見詰めるヴァッシュに、ナイブズは一言だけ告げた。 「眠っていろ、ヴァッシュ」 バインドから逃れようと必死に身体を動かすヴァッシュへと、衝撃が走った。 後方からの一撃であった。 身体の芯から力を抜き取られるような薄気味悪い感覚が、ヴァッシュを襲う。 脱力と共に意識が遠のいていく。 薄れる意識の中でヴァッシュは見た。 身体を貫通したかのように生えたる誰かの右腕と、右腕が握り締める光球。 この光景をヴァッシュは見た事がある。 闇の書の蒐集活動だ。 「目を覚ました時、そこは既に―――」 首を回し後方を覗くと、其処には見知らぬ男が二人いた。 顔に被った仮面が印象的な、瓜二つな二人組の男。 その内の一人が伸ばした手が、リンカーコアを抜き取っていた。 「―――終わりの始まりだ」 ヴァッシュは漆黒に染まる意識の中、ナイブズの言葉を聞いた。 彼の言葉通り、終わりの始まりが、始まった。 前へ 目次へ 次へ
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モンスターデータ(一部) モンスター名 落とし物 入手条件 下位 上位 アイルー 落とし物 入手条件 下位 応急薬(A) 肉球のスタンプ(C) まんまるドングリ(B) 支給専用閃光玉(D) 上位 下位と同じ